読書記録 – 『地層のきほん』

読書記録 – 『地層のきほん』


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『やさしいイラストでしっかりわかる 縞模様はどうしてできる? 岩石や化石から何がわかる? 地球の活動を読み解く地層の話 地層のきほん』
目代 邦康・笹岡 美穂 著, 誠文堂新光社, 2018年5月10日


恐竜に魅せられはじめたことをきっかけに(そのことについての詳しい話は、下の投稿で。↓)、「地学」にも興味を持ち始めた私。

読書記録(?) – きめる!地学基礎 | FUTURE KEY
本『きめる!センター地学基礎』の読書(?)記録。
www.future-key.com


なかでも特に「地質」や「地層」の分野のことをもっと知りたいなあ~と思ったので、今回はこの本を読んでみることにした(図書館で借りた!)。

どんな本?

「地層」にかんする基本的なことたちを、わかりやすいイラストとともに詳しく解説してくれる本(基本的……と言っても、けっこう幅広く扱われている)。「地層」それ自体に興味があるときにはもちろん「大陸の動き」や「火山の噴火」など、さまざまな地球の活動について知りたいときにはぜひ読んでみたい1冊だ。

本書は、そんな疑問に答えるべく、地層に関する基本的なことをわかりやすいイラストで解説しています。地層全体のことがわかると、大陸の動きや火山の噴火など、地球の活動まで理解することができます。

カバー袖より

気になった箇所

現在は過去を解く鍵

 人類が、地層から過去の自然環境を読み解くようになったのは、わずか数百年前からです。地層に記録されていることが、現在の地球上で起きているさまざまな現象と同じ物であるということが受け入れられるためには、長い間の論争がありました。
 中世以前のヨーロッパでは、キリスト教の世界観が人々の考えを強く支配していました。大地をはじめとしてすべてのものは神によってつくられたという天地創造の考え方がありました。その考えの中に、ノアの大洪水というものがあります。地球上のほとんどすべての生物が死に絶えてしまったという大事件です。この聖書にあるお話を元に、地中から掘り出される化石の解釈が行われていました。化石は、そのノアの大洪水の証拠だと思われていたのです。
 このような状況の中で、地層をよく観察し、それがどのようにできていったのか考えたデンマークのステノは、古い地層の上に新しい地層が堆積してできるという、地層累重の法則を発見します。これは、現在では当たり前のように考えられていますが、当時としては、地層の積み重なりが時間の経過を示すものであるということを見抜いた画期的なものでした。
 その後、水の働きによる地層のでき方と、土地を隆起させる地球内部の働きを関連付けて考えるようになります。スコットランドのライエルは、過去地球上で起きていた土地の隆起や浸食といった作用が、現在でも続けて起きていることと考え、それを「現在は過去を解く鍵である」といいました。このような考え方に基づいて、地層に記録されていることから、過去の環境を推定するようになっていったのです。

P12

 今から77万年前の地質時代の変わり目(地層の境界)については、現在議論が進んでいて、今後、千葉県の地層に基づいて定義されるかもしれません。次のページで説明するように、地層の名前は、これまでヨーロッパの地名が使われることが多かったのですが、日本の地名が使われるかもしれません。千葉県の地層で境界が定められることになると、77万年前から12.6万年前までの時代は、Chibanian(チバニアン)という名前になります。

P72~73

食べることができる地層

 地層の中には、食用として利用されているものがあります。それは、岩塩と呼ばれているものです。塩は人間が生きていく上でなくてはならないものです。物資の流通が不便だった時代には、海から離れたところに住む人たちにとって、地下から算出される塩はたいへん貴重なものでした。日本では岩塩は産出しませんが、海外では、アメリカやドイツ、イタリアなどのヨーロッパ諸国などで産出されています。食用として利用されるほか、冬季の融雪剤や、さまざまな化学工業製品を作るための、塩素、塩酸、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)の原料として利用されています。
 岩塩は、海水が地殻変動などによって陸上に閉じ込められ、水分が蒸発して潮の層ができ、それが地下深くで圧力を受けてできるものです。形成にかかる時間は数千万年前から数億年といわれています。白色や雨水桃色のものが一般的ですが、含まれる成分によっては、赤や黄色の色のついたものがああります。岩塩はしばしば、ドーム状の構造をつくります。これは、岩塩が周囲の地層よりも密度が低く、相対的に軽いため、地表に向かって上がっていこうとするためです。
 ポーランドのクラクフの知近く、ヴィエリチカ岩塩抗は、中世(13世紀)から現代に至るまで採掘が行われてきました。坑道の総延長は約300km、最盛期にはポーランドの収入の3分の1をまかなっていました。信心深い抗夫によって、岩塩に礼拝堂など数々の彫刻がなされています。岩塩生産の場とそこで働く人たちの文化が残る場として、世界遺産(文化遺産)に登録されています。

P108

感想と思考

1つ目:「ノアの大洪水」、「ステノ」、「ライエル」について

「中世以前のヨーロッパでは、キリスト教の世界観が人々の考えを強く支配して」いたという話はこれまでにも聞いたことがあったけれど、その影響が「地層」の分野にも及んでいた、ということは今回初めて知った。だから文中に出てきたときには「えっそうっだったの?それなら『聖書』についても、もっと知りたいなあ……。」なんて思ったりもした。

「地球は球形である」と言ったアリストテレスや「地球は太陽の周りを公転している」と言ったガリレオ・ガリレイなんかもそうだけれど、「聖書の教えが絶対!!」のこの時代に、それでも自分が発見した結果を「正しい」と貫き通す姿勢は本当に、科学者そのものなんだなあ、と思う。もちろん、処刑されることを逃れるために表向きでは自論を撤回したりもするけれど、それでも心の中では「絶対に正しいんだ。今に見てろよ!」って思っていたはずだから……。だから「ステノ」や「ライエル」に対してもまた同じように、とても尊敬する気持ちが生まれた。

とはいえ、それほどにまで権威のあった「聖書」がいったいどのようなものなのか、ということについてもやはり興味はある。「ノアの大洪水」の話についてももう少し詳しく知りたいし、今度また本を探して読んでみようと思う。

2つ目:「チバニアン」について

まず、「地層の名前は、これまでヨーロッパの地名が使われることが多かった」という文に対して「そうだったんだ!」と思った。「三畳紀(トリアス紀)・ジュラ紀・白亜紀などと名前が付けられているけれど、この呼び名たちは一体どこからやってきたんだろう?」と思っていたので、ヨーロッパの地名や言語由来だと知ったときには、なんだか妙に納得した。

そしてそれを踏まえてこの「チバニアン」についての説明を読んだとき、私はとても嬉しい気持ちになった。だって、日本の地名が世界基準の名称になるんだよ?!外国の方から「日本のどこ出身なの?」と尋ねられて、(本当は千葉県なんだけど、説明するのも面倒だし『東京』って言っておけばいいか。近いし……。)なんて思っていた人も、胸を張って「あの『チバニアン』の地層のある、千葉県です!」って言えるようになるんだよ?!(※注:私自身は、千葉県出身ではありません。東京都出身でもありません。笑)

※ちなみに先ほど私が書いた文章は、以前たまたま目にしていた上↑の投稿からインスピレーションを受けました。笑

「1つ目」の段落で「『聖書』についてもっと知りたい」と書いたのと同じように、ここでもまた「『チバニアン』についても、もっと知りたい!」と思ってしまった。あとは欲を言うなら、ヨーロッパの地理(地名?)についても少し……。さーて、どんな方法で知ろうかな。本?博物館(←なら、探さなきゃ!)?それとも……。

3つ目:「食べることができる地層」もとい、「岩塩」について

「日本では岩塩は産出しませんが、海外では、アメリカやドイツ、イタリアなどのヨーロッパ諸国などで産出されています。」の一文を見て、「お?じゃあうちの塩は、何(どこ)由来?」と気になったので、確認してみた。↓

じゃじゃーん(2種類あった!)。


拡大したもの。↓


確かに、原材料名やパッケージの表示名を見てみると

  • 「瀬戸のほんじお 焼き塩(左側)」の原材料:岡山県の海水から作った「焼き塩」
  • 「S&B 味付け塩こしょう(右側)」の原材料(うち「食塩」):オーストラリアのシャーク・ベイの海水から作った「天日塩」(※製造場所は、国内。)

となっていた!「さすが、海に囲まれた島国だなあ。」と思える結果だった。
(右側の塩が(ヨーロッパのあれこれではなく)オーストラリアの海水から作られていたのは、オーストラリアの方がヨーロッパと比べて日本からの距離が近いからかな?それとも、日本人の味覚の問題なのだろうか……?)

「『地層』は過去の地球の歴史を知る手掛かりになるものであって、現在の生活とは直接関係がある訳ではない」というのは、おおまちがい。そのことに、(うちの塩は岩塩ではなかったけれど)気づくきっかけとなった文章だった。

「岩塩」や「天日塩」、「焼き塩」以外にも、まだまだたくさんの塩の種類があったりするのかな?「塩の種類と土地や気候の関係」なんかを結び付けながら考えてみるのも、面白そうだな~!!

まとめ。と、これからさらに知りたいこと

今回の本『地層のきほん』からも、たくさんの新しい知識や視点を手に入れることができた。恐竜のことをもっとよく知りたいがために興味を持った分野だったけれど、もしかすると「地層」それ自体にも魅せられるかもしれない……。笑

それからこの本を通して「さらに知りたい!」と思ったことたちについても、以下へまとめておく。↓

  • 「聖書」について(ノアの大洪水、など)
  • 「ステノ」、「ライエル」について(人物、「地層累重の法則」、「現在は過去を解く鍵である」)
  • 「チバニアン」について
  • 「ヨーロッパの地理(地名?)」について
  • 「塩」について(種類、土地・気候・地層・味覚などとの関係)
  • 「ギリシャ語」について
    (P14:英語では geology といいます。 geo とはギリシャ語で地球を示し、 logy は、logos のことで知識を現します。」)
  • 「日本の歴史」について
    (P78 :「完新世という時期は、地球の歴史の中での区分ですが、この機構の変動は、人間の活動に大きく影響を与えています。」)
  • 「国立公園」、「天然記念物」、「世界遺産」、「ジオパーク」について
    (P118:「雄大な景色を作る地形や、科学的な価値の高い地層を保護する制度はいくつかあります。」)

まだまだ、知りたいことや考えてみたいことなどがたくさん!これからもいろいろな方法を使いながら、ひとつずつ取り組んでみたい。

そら / Sora

通信制高校に在籍中の17歳。 気に入った本や、日々の生活を通して感じたことなどを思いのままに綴ります。 趣味は読書、手芸、それに音楽を聴いたり歌ったりすることです :) I am Japanese, 17 years old and a homeschooler. Keep up with my daily life and journals!! Fav -> Reading, Handmade, Music, etc

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  • Post last modified:November 3, 2023
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