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『子どもの心の声を聴く――子どもアドボカシー入門』
堀正嗣 著, 岩波書店, 2020年9月4日
引用箇所の記録
「子どもの家」
近年では、子どもオンブズパーソンの提言により、「子どもの家」という機関が作られました。アメリカにある「子どもアドボカシーセンター」という、性的虐待を受けた子どもの支援をおこなう民間団体の活動がモデルだということです。性的虐待、犯罪など法的な証言が必要な場合などに利用される機関です。
pp. 50~51
かつては性的虐待を受けた子どもが、男性の警察官に取り巻かれて話を聴かれ、トラウマを負うという二次被害を受けることがありました。またいろいろな機関にたらい回しにされ、何度も被害について語らなければならないことがありました。こうした状況をなくし、一カ所で、しかも子どもに配慮した環境で必要なすべての調査ができるようにつくられました。また子どもの証言が尊重され、子どもの立場に立って加害者訴追や裁判がおこなわれるようにしています。ノルウェーでは数年前から、国中の主要都市にこの施設を設置しました。
私は、トロムソの「子どもの家」を訪問しました。この施設のスタッフは五人で、すべてのことを自分たちでおこなうので、子どもが新たな人に会って怖い思いをしなくてすむとのことでした。待合室、面接室、診察室などがあり、子どもが来所すると、臨床心理士などがおもちゃやDVDなどでいっしょに遊び、リラックスできるようにします。そのうえで、専門のスタッフが話を聴きます。また苦痛を与えないように工夫された診察室で、経験豊富な小児科医が診察します。面接室での子どもの証言を心理士や警察官などが別室でモニターして、話し合います。面接中に、面接者に何か伝えたい場合は、赤いランプを点灯して面接者にわかるように表示します。
この「子どもの家」は法務省の管轄(かんかつ)で警察のなかに置かれますが、独立機関です。必要な場合には警察に通報し、加害者を逮捕するなど密接に連携しています。また子どもの権利が守られるように、児童福祉機関などに働きかけます。
ヘルマンさんが、「オンブズパーソンは個別ケースよりも、国の政策を変えることが役割だ」と力強く話しておられたのが印象に残っています。日本では民主党時代に「子どもオンブッド」を設けると言われてきましたが、具体的な動きはありませんでした。国全体の政策に子どもの声を届けることができる子どもオンブズパーソンが、日本にもぜひ必要です。
次に読みたい本
- 『当事者主権』
- 子どもの意見表明権の理論と実務とこれから

